大善寺(山梨県甲州市)

大善寺(山梨県甲州市)

 大善寺は、養老2年(718年)行基によって開創されたとされます。本堂は、山梨県最古の建造物です。本堂と本堂内の厨子を含めて国宝に指定されています。勝沼ぶどう郷駅から車で10分くらいのところに位置します。

 本堂は、桁行五間、梁間五間(五間四方)、寄棟造、檜皮葺、鎌倉時代後期の建造物です。柱の刻銘からもう少し詳しく建造年代はわかるそうですが、完成年は良くわかっていません。

 建物は、基本和様です。頭貫、長押等の横木(水平材)を通す点(*1)、木鼻(*2)の採用等鎌倉時代に中国宋より渡来した新しい建造方法(大仏様、禅宗様)を一部採用している点から、折衷様とされることもあります。折衷様の典型とされる鶴林寺本堂(兵庫県加古川)、功山寺(山口県下関市)等と比べますと、当寺は、基本和様、一部折衷様といったところでしょうか。


<画像の説明>大善寺本堂と屋根下の木組み


 大善寺本尊は、薬師如来坐像です。薬師如来と脇侍の日光月光菩薩は現在秘仏となっており、5年に一度だけ御開帳されます。私は40年位前にお参りさせて戴いたことがありますが、その際は普通に拝ませて戴けましたので、その件をお寺の方にお聞きしたところ、昭和60年代に一度盗難にあい、その際は無事に戻ってきたが、以降秘仏にしているとのことでした。

 秘仏の薬師三尊は平安時代前期の製作とされます。また、それとは別に、鎌倉時代の日光月光菩薩と十二神将は御開帳されており、常時拝ませて戴けます。こちらは鎌倉時代の作成です。これら十七体(秘仏の薬師三尊、御開帳の日光月光菩薩、十二神将)すべてが国の重要文化財に指定されています。十七体の並ぶさまは爽快です。

<画像の説明>画像左または下:大善寺本尊薬師如来坐像
       画像右または上:大善寺薬師三尊像、十二神将

       厨子内の薬師三尊像は秘仏です。両側の日光・月光像と十二神将は拝観可能です。
       いずれも撮影禁止です。
       当画像は、大善寺で購入した絵葉書をスキャンさせて戴きました。

 

 ところで、薬師如来が通常左手に持つ薬壷の代わりに葡萄を持ちます。本体とは同時代のものではないようですが、いつごろ薬壺が葡萄に変わったのかはわからないようです。


大善寺の看板には「葡萄寺」、戴いたパンフレットには「葡萄薬師」と紹介されています。JRの駅名「勝沼ぶどう郷駅」への改称も相まって当地は葡萄一色です。

 

画像の説明:大善寺入り口の看板

 

 

 

 

(*1)鎌倉以前の和様建築は、屋根をそれぞれの柱で受ける構造です。一方、大仏様、禅宗様では、貫を通すことによって、木箱の一面で屋根を受ける構造になっています。
 大仏様、禅宗様についてこのHPでは、過去に何度か取り扱っています。ジャンプ先もご参照ください。

  禅宗様建築垂木について 正福寺・建長寺・円覚寺
  円覚寺舎利殿
  正福寺地蔵堂
  大仏寺(甘粛省)と東大寺大仏殿

(*2)木鼻(きばな)は、木端の意味で、貫(水平材)の端を、柱を突き抜かせ装飾的な彫刻を施したことを言います。大善寺の場合は、その部分が簡単に彫刻されています。時代が更に下ると、象や獅子の彫刻がみられるようになります。木端があれば、少なくともその部分は平安以前には遡れないことになります。

2020年10月19日