タリム砂漠公道(新疆ウイグル自治区)
一神教の発生するためには、永遠、無限そして絶対が条件と本で読んだことがあります。つまり、悠久の時間、無限の空間そして絶対に(永遠に)続くモノがない事だそうです。アラビア半島は、大きな砂漠があって、きっと歩いても、歩いても同じ景色が続くのだろうと思います。私は、アラビア半島には行ったことありませんが、確かに、この地域で、ユダヤ教、キリスト教そしてイスラム教が生まれました。
今回のブログのご紹介は、中国新疆ウイグル自治区のど真ん中に位置するタリム砂漠(タクラマカン砂漠)公道です。冒頭に一神教をご紹介したのは、私がタリム砂漠を訪れた際に、確かに、永遠と無限そして砂以外殆どモノのない状態を直接見て、それを感じたからです。やはり、一神教は、砂漠とともに暮らす人々によって作られた思想が源流だと理解できます。
<画像の説明>タリム盆地砂漠道からタクラマカン砂漠を望む
タリム砂漠の砂漠道は、シルクロードで言いますと、天山南道のクチャの近くから、西域南道のニヤ(ホータン東方)まで、南北約500㎞をほぼ直線で走るハイウェイです。車で、ほぼ一日、同じ景色の中を走り続けます。日本には無い景色です。ラクダしか交通手段のない時代に、夜の月の砂漠を1か月近くかけて(昼間は暑すぎて歩けない)歩いたことでしょう。
中国人は、新疆の疆の字は新疆の地理を表すと説明します。旁の一番上の‘一’が、アルタイ山脈、上の‘田’が、ジュンガリア盆地、次の‘一’が、天山山脈、下の‘田’が、タリム盆地(タクラマカン砂漠)、下の‘一’が、崑崙山脈を表すそうです。その意味では、砂漠道は、下の‘田’の真ん中の|を表します。
(画像の説明)タリム砂漠 広大な砂漠に延々と送電線が走る
<画像の説明>画像下または左 グリーンベルトを維持する ための太陽光パネル
画像上または右 砂漠道入口の路標
路標には、塔里木砂漠公路と記載
(塔里木は、中国語ピンインでは、talimu)
砂漠道は、メンテナンスしないと、直ぐに砂に埋もれてしまいます。そのため、ハイウェイの両側にはグリーンベルトが設けられています。グリーンベルトは、太陽光発電で電気を起こし、モーターを回して、くみ上げた水を散布して維持されています。
地下水の弁を開けるために、全砂漠道の約30㎞おきに、1夫婦を配置し住まわせています。一日の仕事は、弁の開け閉めだけだそうです。訪れる人のほとんどいない一軒家で、一日中夫婦だけで顔を突き合わせているそうです。
ハイウェイとこれらのグリーンベルトそしてメンテナンスのための夫婦の配置、夫婦の食料、水、そして燃料の配給(夜は太陽光発電ができないので、巨大なモータージェネレータが備わっていました)は、砂漠のなかの石油掘削会社によって維持されています。
ここは、上海から4000㎞(時差で3時間(*))離れていますし、砂漠のど真ん中ですので、ここまで来ると流石に日本人はいないだろうと思っていましたが、日本人を載せた団体バスが1台通り過ぎていきました。ご老人がたくさん載っていらっしゃいました。老日本人、恐るべしです(**)。
(*)実際には、中国は全土で北京時間を使用しています。そのためか、例えば、学校は夜明け前に始業するのを、私は、省都のウルムチでみました。
(**)2011年のことです。少数民族問題が深刻で、現時点で旅行者が団体旅行を募集していないと聞きました。