東慶寺水月観音坐像(神奈川県鎌倉市)

 鎌倉の東慶寺は、縁切寺と言う名で有名です。さだまさしの曲にも当寺を扱った曲があったと思います。JR北鎌倉駅から徒歩5分程度に位置します。本尊の聖観音立像は、粘土を型に入れて作った花形を貼り付けています。これは、中国で生まれた手法ですが、日本では、鎌倉地方に残ります。寄木造り、像高134.5㎝、重要文化財です。

 また、東慶寺には水月観音という他にはあまりない観音菩薩が祀られています。水月観音は、水辺に坐して、水面に映える月を眺める姿を現しています。水月観音は、中国では、宋時代に盛んにお軸に描かれたり、或いは仏像としても多く作られました。

 法華経の仏典によりますと、観音様は、救済する人々の身分や立場に合せて様々な姿で現れるとされており、三十三変化が説かれています。その一つが水月観音という訳ですので、由緒ある像容ではありますが、仏像に荘厳性を求める日本人の感性に合わないのか、日本では珍しい像容といえます。
 東慶寺の水月観音菩薩半跏像は、像高 34㎝(像の全長 55㎝)の小さな仏様です。今、御開帳は1日2回、時間を決めて行われています。

 東慶寺の水月観音坐像と最近中国でブレイクしている安岳毘卢洞(*)に残る石造の水月観音坐像を比べてみてください。ほぼ同時代の作品です。

 

<画像の説明>東慶寺水月観音像  
 当像は、撮影禁止のため、当寺にて購入した絵葉書をスキャンさせて戴きました。

 

<画像の説明>安岳毘卢洞(*)の水月観音坐像

(*)四川省東方、重慶市との市省境に近いところに位置します。不便なところにありますので、公共の交通機関では到着できないと思います。専用車を契約するのが良いと思います。

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2017年10月29日