清浄光寺(藤沢市)、無量光寺(相模原市)一遍上人像
浄土教は、阿弥陀仏の極楽浄土に往生し成仏することを説く教えです。平安時代中期には、浄土信仰に基づく造寺や造像がなされました。臨終に来迎を待つ風潮もこの時代に広まりました。空也(*1)や源信(*2)などの活躍により、一般民衆にも浄土信仰が広まりました。
時宗(じしゅう)は、鎌倉時代に興った浄土教の一宗派です。開祖は一遍ですが、一遍には新たな宗派を立宗しようという意図はなく、一生を遊行に費やしました。一遍亡き後、彼が率いた時衆は自然消滅しました。それを再結成したのは、有力な門弟の他阿(たあ)です。他阿はバラバラであった時衆を再統制し、遊行を再開しました。
1304年遊行を3世他阿に譲り、自らは相模国に草庵を建立して定住しました。この草庵が、後に当麻道場金光院無量光寺(*3)となりました。その後、4代目を巡って当麻道場無量光寺と藤沢道場清浄光院(のち清浄光寺(しょうじょうこうじ))に分裂しました。やがて藤沢道場が優勢となりました。清浄光寺は、近世になって遊行寺(ゆぎょうじ)と通称されるようになりました。
<画像の説明>左または下:無量光寺本堂 右または上:清浄光寺本堂
無量光寺は、一遍上人立像が本尊です。秘仏で年1回の開帳です。相模原市博物館に模刻像(レプリカ)が飾られます。無量光寺の境内に、一遍らとならんで墓塔の宝篋印塔があるそうです(*4)。清浄光寺の本尊は、阿弥陀如来です。現在改修中の本尊に代わって、写真撮影した画像が飾られます。
<画像の説明>一遍上人像(相模原博物館蔵) 無量光寺本尊一遍上人像模刻
<画像の説明>清浄光寺本尊阿弥陀如来坐像(写真) 本尊は、改修中です。
(*1)空也は、平安時代中期の僧。阿弥陀聖(あみだひじり)と称されます。口称念仏の祖、民間における浄土教の先駆者と評価されます。融通念仏や一遍にも多大な影響を与えたと言われます。融通念仏については、過去にも鞍馬寺の項で扱いました。
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(*2)源信は、平安時代中期、藤原道長の時代の人です。恵心僧都(えしんそうず)と尊称されます。浄土教の祖とされ浄土宗を興した法然やその弟子の親鸞に影響を与えました。
(*3)無量光寺の寺伝に依れば、1261年一遍により草庵が設けられたのが始まりとされます。
(*4)無量光寺には、案内板もなく、確認できませんでした。