仁和寺(京都市)
仁和寺は、全国790寺の真言宗御室派の総本山です。世界遺産にも登録されています。当寺は、嵐電北野線の ‘御室仁和寺’ 駅から、歩いて数分の所に位置します。嵐電北野線は、嵐電嵐山線の帷子ノ辻(かたびらのつじ)駅から分岐する支線です。嵐電自体がチンチン電車の類ですので、駅は、バス停+αといった感じです。
御室は、仁和寺を建立した宇多天皇のために設けられた室(僧侶の住居)の事でしたが、鎌倉時代以降仁和寺そのもの或いはその近辺を表す地名となっていきました。当寺は、応仁の乱で荒廃しましたが、徳川幕府の援助により、寛永年間に復興に着手しました。金堂は、この際、内裏の旧紫宸殿が移築改修され、仏堂風に改めたもので、国宝です。屋根が両翼にきれいにひろがり、優美な姿を醸し出します。
<画像の説明>仁和寺金堂
御殿内部よりみる五重塔は秀逸です。当寺の五重塔も金堂と同様寛永年間の建立、重要文化財です。工法は純和様で、総高は約36mです。江戸時代の他の塔同様逓減率は小さいのですが、バランスの取れた重厚なつくりとなっています。二王門も重要文化財です。正面に阿吽の仁王像を安置します。工法は純和様、平城京の朱雀門を彷彿とさせます。
<画像の説明>仁和寺御殿内部より五重塔を望む
<画像の説明>
左又は下:二王門
右又は上:五重塔近景
仁和寺の数多くの国宝の中、歴史的、美術的に特に有名なのは、空海の三十帖冊子です。これは、空海の真筆が含まれており、また、時の天皇が様々な形でかかわった長い歴史を持ちます。また、その入れ物の長方形の被せ蓋づくりの箱は、全体を黒漆塗りとし、表面に蒔絵を施しており、こちらも国宝です。迦陵頻伽蒔絵冊子箱の画像は、2018年東博で開催された特別展の際に購入したクリアファイルを撮影したものです。迦陵頻伽はこのサイトで何度かご紹介しましたが、人面鳥身の仏教上想像の鳥です。
<画像の説明>左又は下:宝相華迦陵頻伽蒔絵冊子箱の印刷されたクリアファイルより
右又は上:葛井寺千手観音のポスターより
仁和寺の法師は、徒然草に度々登場して有名です。現在も高校の古文の教科書に掲載されることが多いのではないでしょうか。また、仁和寺派の有力寺院として、以前葛井寺を紹介しました。葛井寺千手観音は、リアルに千手を持つ千手観音として有名です。この様な内容は、以前もご紹介しましたので、リンクを張っておきました。