葛井寺 千手観音坐像(大阪府藤井寺市)*東博特別展より

 東京国立博物館で開催された「仁和寺と御室派のみほとけ展」では、葛井寺の千手観音菩薩坐像が展示されました。この仏様は、通常秘仏で、また、葛井寺が東京からは思いのほか不便な場所なので、なかなか実物を見る機会に恵まれませんでした。今回どうしても拝ませて戴きたかったのは、この千手観音像が、本当に千手持つからです。(自分で数えた訳ではありません)。

 通常千手観音は、40本で千手を表します。1本の手で25本分を表しますので、40本×25本=1000手という訳です。千手とは別に、前の2手を持ちます。千手観音は、通常1手に1眼が書かれていますので、千手千眼観音と言われることもあります。

 

<画像の説明>葛井寺千手観音坐像(東京国立博物館屋外のポスターより)

 実際に千手を持つ千手観音は、葛井寺以外には、唐招提寺(*1)、寿宝寺(*2)都合3体が有名です。国内で国宝・重文クラスはこの3体のみです。また、下記は、中国重慶大足宝頂山の千手千眼観音像です。実際に千手あるそうです。また、手に描かれた「眼」も肉眼で確認可能です。

 

<画像の説明>中国重慶市大足宝頂山の千手千眼観音坐像

 葛井寺の千手観音像は、像高約145cmの坐像。脱活乾漆像、国宝です。東博の説明書きによると、大手38本、小手1001本、計1039本の手を持っているとのことです。手に描かれた眼は、一眼鏡を使用してもなかなか見ることはできませんでした。墨で書かれたのなら、薄くなって、殆ど認識できないのかもしれません。
 千手を仏像の本体でどのように支えているのか、不思議に思っていましたが、今回は、仏像の後にも回ることができたため、納得できました。千手は直接仏像本体につながっているのではありません。本体の背中側に木製のアダプタがあり、アダプタに手が接続されていました。もちろん前面から撮った写真では、アダプタは見えません。250本が1ユニットになっているそうです。メンテナンスや移動のためにもユニット化は有効です。

(*1)唐招提寺千手観音観音像は、像高約536cmの巨像。奈良時代末期の作。木心乾漆像。現在では大手42本、小手911本、計953本の手を持っています。当初は、きっちり1000本あったものとされています。

(*2)寿宝寺(京都)重要文化財。平安時代 一木造り。身体の正面に合掌の手2本、定印の手2本、錫杖を持つ手2本、計6本の手があり、更に身体の周りを円状に囲むように持物を持つ大手が20本、その他小手を合わせて、1000本あるとされます。

2018年03月18日