成田不動尊(千葉県成田市)*関東三大不動尊の一つとして

 関東三大不動尊の最後は、成田不動尊です。成田不動尊は、正式には、成田山新勝寺と呼ばれています。三大不動尊のその他は大山不動尊と高幡不動尊(*1)です。

 JR成田、或いは京成成田を下車してから、参道を10分一寸歩いて成田不動尊に到着できます。初詣では、日本最高の参詣者を集める寺院です(*2)。

 成田不動尊の参道は、なぜか直前で大きくカーブして、坂を下り改めてお寺を眺め上げることになります(*3)。正面の総門をくぐると重要文化財の仁王門が見え、更に大本堂に至る高い階段を仰ぎ見ることができます。

 仁王門は、金剛力士像が見えますが、この仁王門の裏側には、広目天と毘沙門天(多聞天)が祀られます。私は毘沙門天が好きなので、これはラッキーです。

 

<画像の説明>画像左または下:成田不動尊多聞天立像 画像右または上:成田不動尊釈迦堂

 ➡毘沙門天と多聞天の語源等についての説明はこちらをご覧ください。

 石段を上がりきると、正面に大本堂が見えます。また、大本堂に向かって、右には、三重塔、左には釈迦堂があります。ところで、大本堂は、現在の本堂ですが、釈迦堂はその一世代前の本堂です。更に言えば、大本堂の後方に控える光明堂は、釈迦堂のその前の本堂です。更に釈迦堂の前の本堂は、現在は薬師堂と呼ばれています。
 成田不動尊では、現在の本堂とは別に、その前の本堂、前の前の本堂、前の前の前の本堂が現在も残っており、丁重に祀られています。

 

<画像の説明>画像左または下:成田不動尊三重塔 画像右または下:成田不動尊光明堂
(成田不動尊は参拝者が多く、何度か人の途切れるタイミングを狙いましたが、実現していません。)

 成田不動尊には、仁王門、釈迦堂、光明堂、額堂そして三重塔の都合五軒の重要文化財があります。また、これらの建造物には、すべからく木彫の宝庫です。例えば、釈迦堂には、五百羅漢(*4)の羽目板が残ります。三重塔の連子窓の部分には、十六羅漢(*4)、軒下の斗供や垂木にはすばらしい木彫が彫り込まれています。

 

<画像の説明>成田不動尊三重塔軒下の彫刻と模様

 

<画像の説明>画像右または下:成田不動尊釈迦堂五百羅漢
       画像左または上:成田不動尊五重塔十六羅漢

 江戸時代の重要文化財の建築と木彫がこれほどきちんと残っているところは珍しいと思いますし、他の有名寺院にはない充実ぶりです。これらの建造物の相乗効果で、その荘厳さを発露していますし、過去の本堂が4代前まで残ることが、寺院としての継続性を知らしめます。
 特に、明治時代の廃仏毀釈を乗り切ったことは、お寺の関係者が、自身の生命を顧みずにお寺を守られた結果だろうと思います。

(*1)それぞれのリンク先はこちらです。
 ➡大山不動尊へのリンク
 ➡高幡不動尊へのリンク

(*2)神社を含めると日本一は明治神宮だそうです。

(*3)このことは、NHKブラタモリで取り上げられたことがありました。やはり、下の方から、石段を改めて上がる方がありがたく感じるということでしょうか。

(*4)羅漢は、釈迦のお弟子さんの事です。五百羅漢はじめ十六羅漢、十八羅漢等、**羅漢は、江戸時代に新たに表れた像容の一つです。江戸時代の木彫、特に五百羅漢については、別途取り上げたいと考えています。

2017年12月24日