東京大仏(東京都板橋区)
大仏は、丈六超の仏像とされています。丈六は、1丈6尺のことで、約4m80㎝のことです。坐像の場合は、もし立ち上がったら2倍になるという考え方があって、その半分の2m40㎝ということになっています。
東京大仏は、板橋区赤塚の乗蓮寺の大仏のことです。かつては、中山道板橋宿にありましたが、1973年の国道の拡幅工事に伴い移転、1977年に現在の位置に建立されました。青銅阿弥陀如来、像高8.2mです。かつては、東京一巨大な仏様と言われましたが、2018年日の出村に建立された大仏(鹿野大仏)は像高12mあり、東京大仏は、現在では東京23区最大の大仏ということになりました。
<画像の説明>画像左又は下:乗蓮寺阿弥陀如来坐像 画像右又は上:高徳院阿弥陀如来坐像
東京大仏は、板橋区の小高い丘の上にあります。整備が行き届いていますし、御朱印を求める人もとても多く、大仏が観光スポットとしての役割を持っています。ここに大仏を造像されたお寺の意図は存じませんが、近年の大仏の巨大化競争とは一線を画した、印象深い空間を形成できているように思います。
東京大仏を奈良東大寺の大仏や 鎌倉大仏等他の大仏と比較すると下記の通りとなります。
像高(単位m) | 像容 | ロケーション | |
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東京大仏 | 8.2 | 阿弥陀如来坐像 | 東京 |
東大寺大仏 | 14.9 | 盧舎那仏 | 奈良 |
鎌倉大仏 | 11.4 | 阿弥陀如来坐像 | 鎌倉 |
日の出村大仏 | 12 | 釈迦如来坐像 | 東京 |
牛久大仏 | 120 | 阿弥陀如来立像 | 茨城(*1) |
中国では、歴史的な銅像の大仏は残っていません。各地に多く残る大仏は、石像または、石芯塑像(*2)です。楽山の大仏は、史上最大の大仏です。残念なことに、螺髪の修理に、コンクリートを使用しています。近代的な大仏建造競争ではなく、歴史的な文化財の保存、維持にもう少し力を注いで戴ければと考えてしまいます。
<画像の説明>画像左又は下:楽山大仏全景 画像右又は上:楽山大仏頭部
像高(単位m) | 像容 | ロケーション | |
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楽山大仏 | 71 | 弥勒如来?倚像 | 四川省 |
炳霊寺大仏(169窟) | 27 | 釈迦如来倚像 | 甘粛省 |
天悌山大仏(13窟) | 23 | 釈迦如来?倚像 | 甘粛省 |
敦煌北大仏(96窟) | 34.5 | 弥勒如来倚像 | 甘粛省 |
敦煌南大仏(130窟) | 26 | 弥勒如来倚像 | 甘粛省 |
バーミヤン大仏(西大像)(*3) | 55 | 大日如来立像 | アフガニスタン |
バーミヤン大仏(東大像)(*3) | 38 | 釈迦如来立像 | アフガニスタン |
<画像の説明>画像左又は下:炳霊寺大仏(169窟)画像右又は上:天悌山大仏(13窟)
炳霊寺は、私が訪れた際は工事中でしたが、今完成しているようです。ネットで見る限り、周囲とは全く違う色に仕上がっています。完成した現物を見てみたいと思いますが、すぐには実現しそうにありません。
石仏は、上から、足場を組みながら石を下へ掘り進めていく方式です。高温に融解した銅を予め作成した型に一挙に流し込む手法に比べて、どちらかというと、人力集約型です。乱暴な言い方ですが、一人一人が1日に少しずつでも掘り進めば、時間はかかりますが、いつかは完成します。事実、楽山大仏は、常時工事がなされたわけではありませんが、凡そ80年かけて完成しています。
(*1)牛久大仏は、像高120mという巨大な仏像ですが、鉄筋の構造体の周囲を仏像の姿に作り上げた構造だそうで、近代的ビルディングと考えたほうが良さそうです。
(*2)石芯塑像は、石を仏像の形に掘り出したのち、粘土で周囲を仕上げた仏様です。
(*3)バーミヤン大仏は、残念ながら、2001年に、タリバンによって、爆破されてしまいました。