浄真寺九品仏(東京都世田谷区)

 九品仏浄真寺は、九品仏駅を出ますと左手にすぐに参道があります。九品仏駅は、東急大井町線のれっきとした駅です。世田谷区の街中で広大な寺域を維持するのは、大変なお手数と存じます。

 九品仏は、『観無量寿経』でいうところの上品・中品・下品という3つの階位の一つずつの品を更に上生・中生・下生と三つに分けて9階位の事です。
 上品上生は、最も素晴らしい功徳をもって往生を願う人を西方浄土に導きます。上品上生では、阿弥陀仏と脇侍の観音・勢至そして多くの浄土の住人が迎えに来ます。徐々に階位が下がって、最下位の下品下生は、悪行を重ねたが、阿弥陀如来の教えを受け、南無阿弥陀仏を唱えて往生を願いたいと希望している人に対応します。ここでは、浄土からのお迎えは貧素で、自分で努力しないといけません。
 落語風に言えば、上品上生では、浄土からハイヤーでお迎えが来ます。下品下生では、トボトボ歩いて浄土に向かうといったところでしょうか。

 当麻寺はこのHPでは過去に何度か扱いましたが、当麻寺曼荼羅には九品仏が表現されています。今私たちは直接現物を見ることはできません。本物の写しの更にレプリカの10分の一印刷物(当麻寺で購入)が手元にありますので、九品の部分のみ掲載させて戴きます。上の説明から、上品上生~下品下生の意味合いを理解いただけるのではないでしょうか。

 

 

<画像の説明>上図右端 上品上生 下図左端下品下生

 さて、浄真寺の九品仏ですが、九品を手の位置と印(指の形)で表します。九品仏は坐像で、像高は、すべて2.8m(所謂丈六)です。徳によるすべての階位を、(その容易さは様々ですが)一様に浄土に導て戴けると理解すれば良いと思いますが、如何でしょうか。ここで大事なのは、九体すべてが同じ大きさだということです。どのような階位の人でも、等しく極楽に到達することができるからです(*1)。

 

<画像の説明>浄真寺上品堂 阿弥陀如来坐像

 

<画像の説明>浄真寺中品堂 阿弥陀如来坐像

 

<画像の説明>浄真寺下品堂

 当寺の阿弥陀様は、彼方(かなた)の西方浄土にいらっしゃいますので、東面されています。一方、此方(こなた)には本堂があります。本堂と阿弥陀堂の間には池があり、東方の本堂から西方の阿弥陀様に迎えられるという『観無量寿経』の基本的な形を東京23区内で見ることができます(*2)。

 今、九品仏は、修理改修中です。1体ずつ実施されていますので、9体すべての修理改修が完了するのは、2024年だそうです。写真の通り(2018年1月段階では、中品上生が修理中)、当分一体欠けた状態が続くようです。

(*1)浄瑠璃寺(京都府木津川市)の九体仏は、平安時代の文化財(国宝)です。中尊は下品上生(浄真寺の解釈に依ります)、脇尊は上品上生の二品のみであり、像高は中尊(像高221㎝)と脇尊(像高140㎝) と大きさが違います。浄瑠璃寺は、九体仏ですが、九品仏ではないと解釈されます。

(*2)九品仏は、新潟県村上市、熊本県熊本市はじめ数か所に残るそうです。

2018年04月01日