弘明寺(横浜市)
‘ぐみょうじ’と呼びます。この弘明寺から名付けられた同名の京急と横浜市営地下鉄の駅が、付近にあります。
当寺には、鉈彫りの十一面観音が祀られています。寺の説明書きによると、像高181.7㎝、ケヤキ材、一木造、平安時代(11~12世紀)、国の重要文化財です。本像は、本堂の奥深くに祀られており、鉈彫り等の詳細は見えません。堂内が暗く、単眼鏡でも見えませんでした。護摩修行を希望する場合は、更に近づくことができるようです。
<画像の説明>画像1 銅板葺きの弘明寺本堂(1976年に従来の茅葺きから銅板葺きに改修されました。)画像2 本堂最上部に設けられた獅子口(巴瓦の代わりに巴紋が描かれた?)
鉈彫りは、分布が東日本に限られるうえ、作成の時代も平安時代(11~12世紀)に集中しており、また、顔には鉈彫りの跡は一様に見られないことから、完成前の途中段階の作品ではなく、一つの造像技法と考える方が自然です。
鉈彫り像は、岩手県奥州市藤里兜跋毘沙門天立像、岩手県天台寺聖観音菩薩立像、神奈川県宝城坊日向薬師の薬師如来坐像等に取り入れられています。